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主に絵の練習の記録。たまに日記、雑記。

「THEビッグオー」感想

www.the-big-o.net

ネタバレがあります。全編を通した感想というより最終話あたりの感想です。ちゃんとした考察は「 ビッグオー 考察」で検索すればたくさんヒットします。そっちを読んだほうがより深く「ビッグオーの世界」を理解できると思います。

「なぜエンジェルは世界を消そうとしたのか」

ビッグオーの世界」はエンジェルが作ったものです。考察サイトでは、エンジェルの夢、妄想だったとか、エンジェルの作った特撮作品だったとか、アンドロイドのシミュレーションテストだったとか様々な説がありましたが、僕はエンジェルの作った特撮作品説を支持したい。

このアニメの、登場人物やロボットのデザイン、ネーミング等には、様々な特撮作品へのオマージュがありますが、これはそのまま、エンジェルが影響を受けたものでもあります。特撮ドラマや映画に感銘を受けたエンジェルは自分も作ろうとしたわけです。しかし、完成した作品を見ると、影響を受けたであろう他作品の要素が前面に出てしまった。オリジナリティが少ないということが、自身の作家としてのアイデンティティを揺らがせることになったわけです。

様々なメモリーの断片、例えば、ロジャー・スミス型のアンドロイドとか都市を破壊するメガデウスの大軍等々、謎が解明されなかったり、矛盾してたりしますが、これはどうにか作品にオリジナリティを出そうと試行錯誤した結果ではないでしょうか。結局、どれもうまくいかず、わけがわからなくなった。だから、この作品をボツにしようとした。「世界」を消そうとしたわけです。

「最終話のロジャー・スミスの交渉」

あれは作品の登場人物が作者であるエンジェルを肯定したという演出です。キャラクターの外見や設定は純粋なオリジナルではないかもしれませんが、あの「世界」の中で起きた人間ドラマはオリジナルです。創作において、よく「キャラが勝手に動く」と言われることがありますが、作者に語り掛けるほど生き生きとした、血の通ったキャラをエンジェルは生み出すことができたわけです。

ロジャー・スミス」の設定だけ見れば、どこかで見たような印象を受けますが、「彼」が物語の中でやってきたこと、他キャラとの関わり、喜怒哀楽の感情等、単純な設定だけでは説明できない部分に、エンジェルの感性や個性が現れているわけです。

ロジャーの最終話の交渉、エンジェルに語り掛ける言葉にそれが表れていると感じました。

最後、モニターを見るエンジェルの肩をロジャーが叩く。これは彼の言葉が彼女に届いたということであり、その次のシーン、作品の中でエンジェルがロジャーやドロシーと一緒に登場するのはエンジェルがこの作品を受け入れたということではないでしょうか。

以上です。